最近知った漫画家がいる。
その漫画家はたかたけし氏だ。
漫画家歴はそこまで長くないが、今回紹介する「住みにごり」のインパクトは凄まじかった。さっそく紹介したい。
たかたけし氏とは
2019年「ヤングマガジン」(講談社)にて『契れないひと』でデビュー。
どうやら20代半ばで上京し漫画家を目指しており、40を過ぎてからの商業デビューらしい。たかたけし氏のブログによると。
最初は漫画を描いて投稿して……と頑張ってたが、だんだんと漫画を描かなくなり、コンビニで夜勤をされていたようだ。
気づけば38歳になっており、一念奮起して、「グランドジャンプ」(講談社)の「R30漫画賞」に応募したところ佳作となった。
その後、漫画編集者と漫画家とのマッチングサイトに投稿しながら、出版社に持ち込みをしていると、編集から声がかかってデビュー作『契れないひと』(講談社)の連載が決まった。
デビュー後はメキメキと腕を伸ばし、2021年、「ビッグコミックスペリオール」(小学館)にて『住みにごり』連載が始まる。
ビートたけしさん、麒麟・川島明さんなど著名人が絶賛し、いっきに話題作となる。
■たかたけし氏デビュー作「契れない人」
■たかたけし氏ブログ
住みにごり あらすじ
何をしでかすかわからない無口で無職の兄、フミヤ、機嫌が悪くなると突然暴れだす酒乱の父、脳出血で車椅子生活の母、家を出たものの、ちょくちょく実家に顔を出す姉の長月。東京で働いていた次男の末吉は、そんな実家に戻ろうとするものの、タイミングが悪くなかなか言い出すことができない。不穏な空気が立ち込め、大事件が起こりそうな、先の展開が読めないホームドラマ。
――マンガペディアより
■試し読み
会社からもらった長めの夏休みに帰省した主人公は、相変わらず無職でポテチを箸で食う35歳の兄を目の当たりにし、不安がつのるばかりだ。
しかも母親は脳出血で車椅子生活であり、父親は機嫌が悪くなると突然暴れだす酒乱である。
35歳無職の兄が、これから何かしでかすのか、しでかさないのか。
予想がつかないのが怖い。
全編通して不穏な空気が漂っているのが本作の特徴だ。
住みにごり 感想
主人公は都会での生活に疲れ、仕事を辞めて故郷に戻って来る。
実家は寝たきりの母親とその面倒を見るモラハラ気質の父親、離婚して戻って来た姉、そして二十年近く部屋に引きこもっている兄がいる。
物語の冒頭では、引きこもりの兄が無差別通り魔殺人を行う夢から始まる。
主人公の家族は兄だけではなく、それぞれが問題を抱え、お互いに色々な感情を抱えている。家の中の空気は澱み続け、常に不穏な空気が流れている。
最初見たときにはニートの兄がとんでもない存在かと思いきや、出てくる人間も続々と心の闇が垣間見える内容になっている。
家族という異質で怪物のように不可解なものを描く物語「住みにごり」。
これからの展開が非常に気になる漫画である。
なお、たかたけし氏は板尾創路氏と対談をやっていたりもする。
なかなか面白いコンビだ。
■「板尾と漫画家」第二回-たかたけし(前編)
■住みにごり ①~④巻