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つれづれ漫画語り「音盤紀行」「音街レコードA面、B面」"毛塚了一郎 作品集"

最近、自分が推している新鋭の漫画家がいる。
その漫画家は、毛塚了一郎(けづか りょういちろう)先生だ。
1990年生まれの作家で、KADOKAWA漫画誌青騎士」よりデビューした。
青騎士でレコードをテーマにした連作漫画「音盤紀行」を連載中であり、2022年5月に初単行本「音盤紀行①」を発表し、漫画・音楽好き、さらにレコード好きから注目を集めている。
また、2023年1月、2月には、商業連載を始める前に書き溜めた自主制作マンガの数々を詰め込んだ「音街レコードA面」及び「音街レコードB面」を発表した。
今回は、これら毛塚了一郎作品についてレビューしたい。

音盤紀行①

レコードに込められた記憶と想いは時代と国境を越え、受け継がれていく。
祖父の遺したレコードの秘密、禁制のポップ音楽を扱う地下レコード店、近未来のダイナーにおかれた古びたジュークボックス…
レコードに込められた記憶と想いを辿る短篇集。
                      タワーレコード紹介内容より

書店で見かけた時、表紙に惹かれて衝動買いしてしまった。
普段自分は表紙を見ただけでは購入せず、ネットで内容を確認してから購入する。
だが、この漫画の表紙を見た時、ビビッと感じるものがあり、気が付くと購入していたのである。
漫画を読んだ結果、自分の直感は間違ってなかったと感じた。
本作は作者の初単行本であるが、乗り物など全てが緻密に描かれており、本当に初単行本かと疑ってしまうほどである。
また、各話の話の構成もきちんとまとまっており、読みやすい。
”レコード”と聞くと、今の時代ではあまり馴染みがなく、少し戸惑ってしまうかもしれない。
しかし、各話はレコードに関する思い出、レコードが好きな人の物語、ミュージシャンも物語だったりと、特にレコードの専門知識等は出てこず、レコードにそこまで馴染みのない私たちにも読みやすい内容となっている。

www.kadokawa.co.jp


さらに、最近のレコード事情について少し調べてみた。
なんと、最近では数年前からレコード人気が再燃し、アメリカでは去年、CDの売り上げを34年ぶりに上回るなど世界的なブームになっているとのことだ。
またこの数年、国内外の人気アーティストが新曲をリリースする際にCDとレコードで同時に発売する動きが広がっていて、20代を中心とする若い世代で人気が高まっているらしい。
日本でもレコード人気が高まっており、2010年には1億7000万円まで落ち込んだが、それ以降じわじわレコード人気が再燃し、2020年の国内での生産額は21億1700万円と、この10年で12倍に増えた。
アナログならではの温かみがある音に加えて、「SNS映えする」「簡単じゃないのが逆にいい」というのが人気の秘密であり、指先の操作ひとつで簡単に聴けるデジタルの利便性と真逆のことが、若者にとって新鮮な魅力になっているようだ。
CDやデジタル配信の時代をも乗り越えて、過ぎ去った時代のメディアだったはずのレコードが、今やその存在感によって地位を取り戻しつつあるのは、何だか嬉しく感じる。

〇レコード再熱の記事

www3.nhk.or.jp

音街レコードA面、B面

あなたの街のレコード店。そこには音楽と未知と冒険と想い出があった。
レコード漫画『音盤紀行』を漫画誌青騎士」で連載中の毛塚了一郎。商業連載を始まる前に書き溜めた自主制作漫画を2分冊で商業出版。
東京の小さなレコード店で働く女の子が紡ぐいくつもの物語。
                      タワーレコード紹介内容より

「音街レコード」は、毛塚先生が商業連載を始める前に書き溜めた自主制作マンガの数々を、「A面」「B面」の2冊に分けて届ける作品集である。
上巻である「A面」は、穏やかな時間の流れる街に馴染んだレコード店、そこでの日々の業務を描く「高架線下の音盤」、西新宿の怪しいレコード屋探訪「潜入!レコードストア」、少女のアナログレコード初体験「GET BACK」、セール中のレコード屋を訪れた音楽好きの心理を描写する「まとめ買いの見えないルール」などを収録、下巻である「B面」では、郊外の巨大レコード店に眠る幻のレコードが巻き起こす怪奇と神秘の秘話「音霊ドライブ」3部作、異国のレコードが紡ぐ一夜の夢物語「Ticket to Trip」などを収録している。
A面・B面ともに、7インチレコードを模した正方形の特使判型での刊行となり、描きおろしカラーピンナップ付きである。
ちなみに自分のお気に入りのお話は、A面の第1話「高架線下の音盤」だ。
レコード屋でバイトをしている女の子(主人公)とその友達が、街を眺めながらレコードを聴くといった、なんてことのない話だが、自分はこの話の雰囲気が凄く好きである。
レコードとは全く関係のないシーンだが、主人公の友達が夜の川と街の灯りを見ながら、煙草に火をつけるシーンが特に良いと感じた。

tower.jp

〇試し読み(A面第1話「高架線下の音盤」が読めるので是非読んでみてほしい)

booklive.jp

毛塚了一郎作品の魅力

毛塚了一郎作品の魅力は、この作品が醸し出す雰囲気だと思う。
これらの作品を読んでいると、なんだか昔の懐かしい時代に戻ってしまったかのような錯覚に陥る。
そのノスタルジックな雰囲気が、奥深い"レコード"という世界と相まって、読者を昔に戻ったような懐かしい気分にさせてくれるのだろう。
毛塚了一郎作品の雰囲気は、以前紹介した豊田徹也作品に少し似ているのかなとも感じる。
このような気分に浸れる作品は、これまでなかなか読んだことがなかった。
これからの活躍が、本当に楽しみな漫画家の1人だ。
今後も影ながら応援していきたい。
そして、今年はレコードにも手を出してみようかなと思っている自分がいたりする。

〇バーバーバードブックス(オンラインショップ)

barberbyrdbooks.booth.pm

〇バーバーバード基地(イラストやラインスタンプなど)

note.com

〇SUZURI(オンラインショップ)

suzuri.jp

〇毛塚了一郎作品