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つれづれ漫画語り「ROCA 吉川ロカ ストーリーライブ」

朝日新聞」朝刊の四コママンガなどで知られる、4コマ漫画の巨匠、いしいひさいち氏。
そんないしいひさいち氏の作品の中でも、今回紹介する「ROCA 吉川ロカ ストーリーライブ」が自分は一番好きである。

本作は、朝日新聞朝刊の四コママンガ『ののちゃん』の連載内連載として展開していたが、いしいひさいちさんのWebサイトで「朝日新聞のコアな読者にはたいへん評判がわるかった」として、朝日新聞での連載内連載を終了し、吉川ロカシリーズは今後Webサイトで続けていく旨が告知される。
そして2022年8月、自身の同人誌とウェブサイトでの発表分、朝日新聞掲載分に若干の描きおろしを加えて発表されたのが、本作「ROCA 吉川ロカ ストーリーライブ」である。

本作は、本作はいしいひさいちさんの公式ウェブサイト「(笑)いしい商店」と、提携している電子書店などでしか販売されていない自費出版作品であるため、般的な書店では見かけることはほぼない。
しかし、2022年8月の発売以来、SNSなどで評判が広まり、2023年度の「このマンガを読め!」でめでたく第1位に輝いた。

本書の魅力

とある地方の海辺の町に住む女子高生・吉川ロカが、ポルトガルの国民歌謡であるファドの歌手を目指す…というのが話の大筋である。
ストリートでのライブを経たロカが才能を開花させていく歌手活動、親友・柴島美乃とのつかず離れずの友情、街の人々とのあたたかい交流、そして物語終盤でたたみかけられる展開はあまりにも切なく胸に迫る。

主人公の吉川ロカが歌うファドを理解する概念として、切なさや思慕を意味する「サウダージ」という言葉が登場する。
サウダージ」とはポルトガル語で、「郷愁」や「思慕」と訳されることもあるが、正確には「無邪気で幸福だった日々を懐かしむ気持ち」「もう戻れない過去を思う切なさ」といった、他の言語ではひとつの単語で表すことのできない複雑に入り混じった感情を示す言葉だそうだ。

少しネタバレになってしまうが、物語終盤、主人公は支えであった友人と別れることになってしまう。
「泣いた赤鬼」を思い出すラスト。
主人公のために、自ら別れを切り出す友人…
漫画を読んだ後、胸にこみ上げる思い。
これが、おそらく「サウダージ」と呼ばれる感情なのだと思う。

久々にマジで感動する漫画を読んだ。
まるで一本の映画のような完成度である。
ギャグだけではなく、これほど感動できる作品も描くことが出来るいしいひさいち先生はやはり天才だ。

「ROCA」の実写映画化も時間の問題であろう。

 

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